Life Support情報 新着
2023.12.04|Life Support情報 新着
子犬・子猫を迎えたら｜健康診断・予防診療について
犬や猫と末永く暮らしていくためには、病気を早期に発見するための健康診断や、重篤な病気を未然に防ぐ予防診療がとても大切です。
特に子犬・子猫のころは身体の機能が未成熟のため、さまざまな病気にかかる危険性があります。また、犬では法律で定められた予防接種もあります。
今回は子犬と子猫の健康診断・予防診療について、その目的や内容を中心に解説します。
■目次
1.健康診断・予防診療の目的
2.ワクチン接種
3.フィラリア症の予防
4.ノミ・マダニ予防
4.避妊・去勢手術
4.まとめ
健康診断・予防診療の目的
健康診断とは、身体の異常を早期に発見し治療するため、そして病気そのものを予防するための検査です。
一般的には、問診や触診、聴診などの五感を使った検査の他に、血液検査、X線検査、超音波検査などが含まれます。私たち人間では１年に１回、受診する方が多いかと思いますが、犬や猫も１年に１回は受診することをお勧めします。
そして予防診療は、一度かかってしまうと治療が難しい、あるいは周囲に感染を広めてしまう病気を予防するための獣医療です。主に、ワクチン接種（混合ワクチンと狂犬病ワクチン）、フィラリア予防、ノミ・マダニ予防などが含まれます。
また感染症ではありませんが、生殖器関連の病気や望まない妊娠を防ぐためにも、避妊・去勢手術の実施が推奨されます。
ワクチン接種
・混合ワクチン
混合ワクチンの成分は、コアワクチンとノンコアワクチンに分けられます。
コアワクチンとは、世界中で感染が認められる重度の致死的な感染症から動物を守るためのもので、犬では犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス（１型、２型）、犬パルボウイルス、猫では、猫汎白血球減少症ウイルス、猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルスが含まれます。
ノンコアワクチンは、住む地域や状況に応じて接種を選択できるもので、混合ワクチンではコアワクチンとともに１回の注射で接種ができます。
接種のスケジュールやワクチン成分については、お気軽に獣医師までお尋ねください。
・狂犬病ワクチン
狂犬病という病気を予防するためのワクチンで、日本では狂犬病予防法という法律によって、生後91日以上の場合は毎年１回の狂犬病のワクチン接種が義務付けられています。
フィラリア症の予防
フィラリア症は蚊の吸血によって感染・発症するため、蚊が発生し始めた時期から、蚊がいなくなった１カ月後まで、月に１回、予防薬を投与し続ける必要があります。
予防薬には、錠剤、チュアブル、スポットオン、注射製剤といったさまざまなタイプがあります。
ノミ・マダニ予防
ノミやダニは動物だけでなく人間にも寄生する場合があります。かゆみが生じるだけでなく、猫ひっかき病（ノミ）やSFTSとも呼ばれる重症熱性血小板減少症候群（マダニ）の原因病原体を媒介する危険性もあるため、定期的な予防は重要です。
また、お散歩で外に出る犬だけでなく、完全室内飼いの猫でも、服や荷物についたノミやマダニが感染する可能性もあります。駆除薬には、錠剤、チュアブル、スポットオンといったさまざまなタイプがあります。
避妊・去勢手術
避妊手術では子宮蓄膿症や卵巣や子宮の腫瘍、乳腺腫瘍などの発生を、去勢手術では前立腺肥大や精巣腫瘍などの発生を防ぐことができます。
これらの手術を行う時期については動物病院ごとに異なりますが、一般的には生後半年～１歳未満での実施が推奨されています。
特にメスの乳腺腫瘍に対しては効果的で、犬では２回目の発情前に手術を行うとその発症リスクは92％減少し、猫では１歳になる前に手術を行うと86％減少するとも報告されています。
まとめ
犬や猫の健康寿命を延ばすためには、定期的な健康診断や予防診療が肝心です。
子犬や子猫を飼い始めたら、まずは動物病院を受診して健康をチェックしてもらうとともに、予防診療の内容やスケジュールについて説明を受けましょう。
年中無休で動物たちの健康をサポートします
千里桃山台動物病院
＜参考文献＞
WSAVA Guidelines for the vaccination of dogs and cats – PMC (nih.gov)
heartwormsociety.org/images/pdf/2018-AHS-Canine-Guidelines.pdf
Canine mammary tumours, an overview – PubMed (nih.gov)
