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【緊急】愛犬がキシリトールを食べてしまった!症状と対処法、デンタルケア製品の注意点

愛犬のお口の健康を守るために、歯磨きやデンタルガムなどを使って口腔ケアをされている飼い主様も多いのではないでしょうか。その中で、「キシリトール入り」と記載された製品を、特に気にせず購入されたご経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

 

キシリトールは人間にとって、虫歯予防などに役立つ成分として知られていますが、犬にとってはわずかな量でも命に関わる中毒症状を引き起こす可能性があります。特に甘い香りに誘われて、犬がうっかり口にしてしまうケースは少なくありません。思わぬ誤飲を防ぐためにも、日頃からの注意が大切です。

 

今回は、犬が一定以上のキシリトールを摂取してしまった場合の緊急対応や、中毒の仕組みと症状、製品選びの注意点などについてご紹介します。

 

 

 

■目次
1.なぜ犬にキシリトールは猛毒なの?猫との違いも解説
2.キシリトール中毒の症状進行と見極めポイント
3.見落としがちな危険!デンタルケア製品に潜むキシリトール
4.【緊急対応】犬がキシリトールを摂取してしまった方へ
5.Q&A(よくある質問)
6.まとめ

 

なぜ犬にキシリトールは猛毒なの?猫との違いも解説

キシリトールは、人間では血糖値にほとんど影響しない安全な甘味料とされています。しかし、犬が摂取した場合、体内で急激にインスリンが分泌され、血糖値が一気に下がってしまいます

 

この「急激な低血糖」は脳の働きに大きな影響を与え、短時間でふらつきや痙攣、意識障害などの命に関わる症状を引き起こします。さらに重度になると、肝機能障害や血液の凝固異常など、全身に悪影響が及びます。

 

具体的には、犬が体重1kgあたり100mg以上のキシリトールを摂取すると、中毒のリスクが高まるとされています。たとえば、人間用の市販のキシリトールガム1粒には約500mgのキシリトールが含まれており、体重5kgの犬なら1粒でも中毒に至る可能性があります。

 

一方で、猫に関してはキシリトール中毒の報告は非常に少なく、感受性も犬ほど高くないと考えられています。ただし、安全性が完全に証明されているわけではないため、猫にも与えないようにしましょう。

 

キシリトール中毒の症状進行と見極めポイント

犬がキシリトール中毒を起こすと、以下のように症状が進行していきます。

 

<初期(摂取後30分~1時間)>

嘔吐

運動失調(ふらつき)

脱力感

痙攣

意識の低下

 

<進行期(1~6時間)>

呼吸異常

意識混濁

心拍の乱れ

体温の低下

 

<重篤期(6時間以降)>

食欲不振

黄疸(歯茎や白目が黄色くなる)

貧血

肝障害の進行

 

症状は短時間で進行し、回復が困難になるケースもあります。「少し元気がない」と感じた時点での早期受診が、愛犬の命を守る第一歩になります。

 

見落としがちな危険!デンタルケア製品に潜むキシリトール

犬のデンタルケア製品を選ぶ際、「犬用の製品だから安心」と思い込んでいませんか? 実は、市販されている犬用のデンタルガムや歯磨きペースト、口腔スプレーの中にもキシリトールが含まれている製品があります。

 

こうした製品を使用する場合には、以下の点に注意してください。

 

成分表示で「キシリトール」「Xylitol」が記載されていないか確認する

使用量や使用頻度を守る

誤って犬が大量に食べてしまわないよう、高い場所に保管する

 

また、キシリトールはデンタルケア製品だけでなく、食品にも含まれていることがあります。たとえば、いちごやラズベリーなどのベリー類や、ほうれん草、カリフラワーといった野菜にも、微量ながら含まれています。そのため、知らないうちに摂取量が増えてしまうこともあるため、過剰摂取には注意が必要です。

 

また、口腔ケアは大切ですが、製品選びと管理が安全性を左右します。安心してケアを続けるためにも、信頼できる製品を選びましょう。

 

【緊急対応】犬がキシリトールを摂取してしまった方へ

犬が一定量以上のキシリトールを食べてしまった場合、様子を見るのではなく、直ちに以下の手順で対応してください。

 

<緊急対応手順>

①すぐに動物病院に連絡

まずは、かかりつけの動物病院に電話で連絡しましょう。夜間や休診日であっても、救急対応可能な動物病院を探してすぐに相談してください。

 

②摂取量・時間・製品名の確認

動物病院へ連絡する際には「何を」「どれくらい」「いつ摂取したか」をできるだけ正確に獣医師に伝えてください。製品のパッケージや食べかけが残っている場合は、受診時に持参しましょう。また、愛犬の現在の状態(ふらつき、嘔吐、意識の有無など)も詳しく伝えると、迅速な処置につながります。

 

③自己判断で吐かせない

「吐かせた方がいいのでは?」と思うかもしれませんが、自己判断での嘔吐処置は非常に危険です。誤嚥や状態の悪化を招くこともあるため、必ず獣医師の指示を仰いでください。

 

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Q&A(よくある質問)

Q:キシリトール入りガムを少し舐めただけでも危険ですか?

A:舐めた程度であれば、重篤な中毒になる可能性は低いですが、油断は禁物です。3日ほど体調を観察し、変化があれば動物病院を受診してください。

 

Q:症状が出ていなくても動物病院に行くべきですか?

A:はい。たとえ今は症状が見られなくても、あとから急に体調が悪化するケースもあります。少しでも心配なことがありましたら、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

 

Q:ご家庭でできる応急処置はありますか?

A:基本的にはありません。自己判断での処置は、かえって症状を悪化させてしまう可能性があります。まずは落ち着いて、すぐに動物病院へ連絡してください。専門的な対応が、愛犬の命を守るために重要です。

 

Q:動物用のデンタルガムにキシリトールが含まれていますが、問題ありませんか?

A:製品の使用方法を守っていれば問題ない場合が多いですが、保管場所や誤飲への注意が必要です。

 

まとめ

犬にとってキシリトールは非常に危険な成分であり、少量でも命に関わる中毒症状を引き起こすことがあります。特にデンタルケア製品や人間用のガム・食品など、日常の中に潜むリスクは少なくありません。

 

誤飲を防ぐためには、製品選びの段階で成分表示を確認する習慣を持ち、万が一のときには迅速に行動することが重要です。また、日々の健康チェックを怠らず、異変に気づいたらすぐに動物病院へ連絡することが愛犬の命を守る鍵となります。

 

なお、当院ではキシリトール中毒に関するご相談はもちろん、安全な口腔ケア製品の選び方や日常管理についてもサポートしております。不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

 

■関連する記事はこちらから

犬と猫の口腔ケアの重要性|健康的な歯と歯茎のための対策法とは?

犬と猫のための歯科をお探しの方へ|愛犬や愛猫の健康を守る動物病院

 

<参考>

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/16/1/16_30/_pdf

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jvp.12479

 

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