ライフサポート情報
2025.08.25|ライフサポート情報
シニアの犬や猫の手術前に知っておきたい!麻酔のリスクと対策
「シニアの犬や猫に麻酔をかけるなんて不安…」と感じたことはありませんか?
犬や猫もシニア期に突入するとさまざまな病気にかかりやすくなり、治療のために麻酔が必要になるケースも少なくありません。しかし、シニアの場合、さまざまなリスクを伴うため、治療のために手術を選択すべきか、リスクをふまえて他の選択肢をとるべきかを慎重に判断する必要があります。
今回は、シニアの犬や猫が手術を受ける際に伴う麻酔のリスクや、そのリスクを少しでも軽減するために私たちが行っている取り組みなどについてご紹介いたします。
■目次
1.シニアの犬や猫の麻酔が持つリスクについて
2.がん手術における具体的なリスクと合併症
3.リスクを最小限に抑えるための事前検査と準備
4.手術を受けない選択肢も含めた治療方針
5.よくあるご質問(Q&A)
6.まとめ
シニアの犬や猫の麻酔が持つリスクについて
まず初めにお伝えしたいのは、年齢にかかわらず麻酔のリスクがゼロになることはないということです。これはすべての犬や猫に共通しますが、高齢になるとそのリスクが特に高まる傾向があります。
その理由のひとつが、加齢にともなう身体機能の変化です。犬や猫も人間と同じように、年齢を重ねることでさまざまな臓器の働きが徐々に低下していきます。こうした変化が、麻酔をかける際に影響を及ぼすことがあります。
具体的には、以下のようなリスクが考えられます。
<肝臓の機能低下>
麻酔薬は肝臓で代謝されるため、肝機能が落ちていると薬の分解が遅れ、麻酔から醒めるのに時間がかかる可能性があります。
<腎臓の機能低下>
代謝された麻酔薬は腎臓から排出されますが、その機能が衰えていると体内に薬剤が長く残り、負担が大きくなります。
<心臓の機能低下>
血液を全身に送る心臓の力が弱くなることで、麻酔中に循環器系のトラブルが起こりやすくなります。
若い犬や猫では、これらの臓器がしっかり機能しているため麻酔によるリスクが比較的低く、安全性も高い傾向があります。しかし高齢になると、同じ麻酔でも身体にかかる負担は大きくなります。
だからこそ、手術前には詳しい検査を行い、犬や猫にとっての麻酔リスクを正確に把握することがとても重要です。
がん手術における具体的なリスクと合併症
シニアの犬や猫に多く見られる病気の一つが「がん」です。腫瘍の種類によっては外科手術が第一選択となることが多くあります。しかし、手術を決断する際には麻酔や術後のリスクも慎重に検討しなければなりません。
麻酔中に起こりうるリスクとしては、以下のようなものが挙げられます。
<呼吸抑制>
麻酔薬の影響で呼吸が浅くなったり、止まりかけたりすることがあります。
<血圧低下>
血管が拡張されて血圧が下がり、臓器への血流が減少してしまうことがあります。
<体温低下>
特に長時間の手術では体温が低下しやすく、代謝機能に影響を及ぼすことがあります。
さらに、シニアの犬や猫は体力や免疫力が低下しているため、手術後の回復にも時間がかかることも少なくありません。傷の治りが遅くなったり、感染症のリスクが高まったりすることも考えられます。
しかし、当院ではこれらのリスクをあらかじめ飼い主様に丁寧にご説明し、ご理解とご納得をいただいたうえで治療を進めていきます。また、術後に合併症が起こった場合にも迅速に対応できるよう、入院管理や点滴治療などの体制を整えて備えております。
リスクを最小限に抑えるための事前検査と準備
手術前に麻酔のリスクを評価するうえで、術前検査は非常に重要です。特にシニアの犬や猫では、以下のような検査を幅広く実施し、手術に耐えうるかどうかを慎重に判断します。
<血液検査>
若い犬や猫では簡易的に実施することもありますが、高齢の場合は肝臓や腎臓の機能、貧血、炎症の有無などを総合的に調べます。
<レントゲン検査>
胸部と必要であれば腹部の撮影を行い、心臓や肺、肝臓、腎臓などの臓器の大きさや形、異常の有無を確認します。
<超音波検査>
心臓の動きや臓器の内部構造をリアルタイムで観察し、見逃されやすい疾患の有無を確認します。
<心電図検査>
心筋症や不整脈などの電気的な異常を調べ、安全に麻酔をかけられる状態かを判断します。
当院では、これらの検査結果をもとに、麻酔のリスクと治療によって得られる効果を比較検討し、最適な治療方針をご提案します。また、すぐに決断を迫るようなことはいたしません。飼い主様としっかり時間をかけて相談しながら、最も納得のいく選択ができるようサポートさせていただきます。
手術を受けない選択肢も含めた治療方針
手術によるリスクが大きいと判断された場合や、飼い主様のご意向によっては、「手術をしない」という選択肢を取ることもあります。この判断は決して否定されるべきものではなく、尊重されるべき大切な選択です。
手術以外の治療としては、以下のような方法が考えられます。
<内科的治療>
薬を用いて症状を抑える対症療法が中心になります。
<緩和治療>
病気を完全に治すことは難しい場合でも、痛みや苦しみを和らげ、日々の生活を少しでも快適にすることを目指します。
これらの治療は、病気の進行を遅らせたり、生活の質(QOL)を保ったりするための大切な手段です。どの選択肢が正しいかは、犬や猫の状態、そして飼い主様の思いや生活状況によって異なります。
そのため、後悔のないよう十分に話し合いながら、ひとつずつ丁寧に方向性を決めていくことが大切です。
よくあるご質問(Q&A)
Q:高齢だからといって手術は諦めるべきでしょうか?
A:いいえ、高齢という理由だけで手術を諦める必要はありません。麻酔リスクは年齢だけで判断できるものではなく、体調や内臓機能など、総合的な健康状態をしっかり評価して判断する必要があります。
Q:麻酔から醒めない可能性はどのくらいありますか?
個体差が大きいため、一般的な数字ではお伝えできません。そのため、術前に詳しい検査を行い、その結果をもとに麻酔のリスクについてご説明させていただきます。
Q:手術後の介護はどの程度必要ですか?
手術の内容や犬や猫の状態によって異なりますが、安静の確保や食事管理、傷口の消毒などのケアが必要です。詳しい内容については、診察時にわかりやすくご説明いたしますのでご安心ください。
Q:セカンドオピニオンを求めても良いですか?
もちろんです。セカンドオピニオンは飼い主様にとって大切な権利です。納得のいく治療方針を見つけるためにも、他院の意見を聞きたいとお考えの場合は、遠慮なくご相談ください。
犬や猫のセカンドオピニオンを考えるべき状況や上手な求め方についてより詳しく知りたい方はこちら
まとめ
シニアの犬や猫における手術には、若い時期とは異なるリスクが伴います。しかし、そのリスクを理解したうえで、丁寧な検査と相談を通じて最適な治療法を選ぶことが、飼い主様と愛犬や愛猫の安心につながります。
当院では、麻酔や手術に対するご不安を少しでも軽減できるよう、詳しいご説明と十分な相談時間を設けた診療を心がけております。麻酔のリスクや治療の選択でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
飼い主様と大切な家族である愛犬や愛猫にとって、最善の選択ができるよう、全力でサポートいたします。
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千里桃山台動物病院
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