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2025.11.21|ライフサポート情報
犬や猫の肉球がカサカサ・ひび割れ?乾燥の原因とケア方法を獣医師が解説
最近「犬の肉球が乾燥してカサついているように見える…」「猫の肉球が前よりも硬くなった気がする…」といった、ちょっとした変化に気づいたことはありませんか?
肉球は犬や猫にとって、歩行の衝撃を和らげ、体を支える大切な役割を担っています。しかし、乾燥したりひび割れたりすると、痛みを伴ったり、傷口から細菌が入って感染症を引き起こす恐れもあるため注意が必要です。
今回は、犬や猫の肉球に起こりやすい乾燥やひび割れについて、原因やケアの方法、動物病院を受診すべきタイミングなどを獣医師の視点からわかりやすく解説します。
■目次
1.犬と猫の肉球はどう違う?健康な状態を知っておこう
2.肉球が乾燥・ひび割れる原因とは?
3.季節ごとに異なるトラブル|夏と冬の注意点
4.ご自宅でできる肉球ケア|保湿と観察の習慣を
5.こんなときはすぐに病院へ|受診の目安
6.まとめ
犬と猫の肉球はどう違う?健康な状態を知っておこう
まずは、犬と猫の肉球の違いや、健康な状態とはどのようなものかを理解しておくことが大切です。
<犬の肉球>
子犬のうちはやわらかく弾力がありますが、成長して散歩をするようになると、外からの刺激や摩擦によって次第に硬くなり、乾燥やひび割れが目立ってくることがあります。特にアスファルトの道や硬い地面を長時間歩くことで、ダメージを受けやすくなります。
<猫の肉球>
猫は室内で飼育されていることが多いため、通常はやわらかくしっとりとした肉球を保っています。しかし、室内環境の乾燥や体調不良によって、肉球がガサガサしたり硬くなったりする場合があります。
また、健康な肉球には以下のような特徴が見られます。
・しっとりとした適度なうるおいがある
・弾力があり、やわらかさを感じる
これらの状態から外れている場合、乾燥や病気のサインである可能性も考えられます。
肉球が乾燥・ひび割れる原因とは?
犬や猫の肉球がカサカサになったり、ひび割れを起こしたりする原因は、大きく分けて以下の3つに分類できます。
<環境要因>
・冬場の乾燥した空気やエアコン・暖房の風
・夏場の熱せられたアスファルトやコンクリート
<生活習慣>
・長時間の散歩による摩擦
・硬い路面を歩くことによる負担
・シャンプーのしすぎによる皮脂の落としすぎ
・加齢に伴う皮膚の保湿力低下
<体の不調>
・肝臓や甲状腺の異常による代謝の低下
・免疫の異常により皮膚全体の乾燥が進む
一見ただの乾燥のように思える場合でも、実は全身の健康状態に関連していることがあります。そのため、単なる皮膚のトラブルとして軽視せず、違和感があれば早めに動物動物を受診することが大切です。
季節ごとに異なるトラブル|夏と冬の注意点
犬や猫の肉球トラブルは、季節によっても原因やリスクが異なります。以下のような季節特有の要因に注意しましょう。
<夏に多いトラブル>
・日中の散歩による熱いアスファルトでのやけど
・長時間歩いたことによる肉球の乾燥や摩耗
・強い日差しによる色素の変化や炎症
散歩から帰ったあとに肉球が赤くなっていたり、熱をもっていたりする場合は、軽いやけどの可能性もあります。また、歩き方に違和感が見られる場合も要注意です。
<冬に多いトラブル>
・空気の乾燥や室内の暖房による水分蒸発
・床暖房の熱が直接肉球を刺激
・融雪剤などの化学物質が足裏に付着することでの刺激
特に高齢の犬は、皮膚全体の保湿力が低下しているため、冬場はひび割れや炎症が起こりやすくなります。そのため、季節に合わせたケアを心がけましょう。
ご自宅でできる肉球ケア|保湿と観察の習慣を
日頃から自宅でできる肉球ケアを習慣化することで、大きなトラブルを未然に防ぐことが可能です。
散歩から戻ったあとは、濡らしたタオルやウェットシートで足裏の汚れをやさしく拭き取り、その後しっかりと乾かしてください。水分が残っていると雑菌が繁殖しやすくなるため、乾燥は丁寧に行いましょう。
乾かした後は、犬や猫専用の保湿クリームを少量塗布してください。なお、実際によくあるご質問として「人間用のハンドクリームでも良いのか」という声がありますが、人間用のクリームには香料や防腐剤などが含まれていることがあり、舐めた際に中毒を引き起こす恐れもあるため使用は避けましょう。
また、以下のポイントを日常的に観察することで、早期に異常に気づくことができます。
・肉球の色の変化はないか
・触ったときの柔らかさに変化はないか
・ひび割れや傷、腫れなどがないか
こうした観察は、犬や猫とのスキンシップにもつながり、健康管理の一環として非常に重要です。
こんなときはすぐに病院へ|受診の目安
以下のような症状が見られる場合は、ご自宅でのケアだけでは対処が難しく、早急に動物病院での診察が必要です。
・肉球が深くひび割れ、出血している
・歩くのを嫌がる、足を地面につけたがらない
・肉球に赤みや腫れがある
・足先をしつこく舐めている
・肉球から膿や悪臭がする
また、乾燥やひび割れが何度も繰り返される場合は、皮膚トラブルだけでなく、甲状腺の機能低下や免疫系の異常といった内臓疾患の可能性も考えられます。
犬の甲状腺機能低下症の原因や治療法についてより詳しく知りたい方はこちら
なお、当院ではCTやMRIといった高度な画像診断機器も活用し、表面的な異常だけでなく、体の内部に隠れた原因までしっかりと調べる診療を行っています。
犬と猫のCT・MRI検査の重要性や当院の設備についてより詳しく知りたい方はこちら
分からないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
まとめ
肉球は、犬や猫の健康状態や生活環境を映し出すバロメーターのような存在です。日々の変化を見逃さず、違和感があれば早めに動物病院に相談することが、重大な疾患の予防にもつながります。
乾燥やひび割れといったトラブルは、保湿や日常の観察で防げることもありますが、体の不調が関係している場合には、早期発見が何よりも重要です。
当院では、犬や猫が痛みや不安を感じないようなやさしい診療と、飼い主様に寄り添った丁寧な説明を大切にしています。「ちょっと気になるけど、病院に行くほどではないかも…」と迷われる時こそ、どうぞお気軽にご相談ください。当院では、どんな些細なお悩みにも真摯に向き合っております。
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