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愛犬の食欲不振と無気力は要注意|犬の甲状腺機能低下症の基礎

最近、愛犬が「ずっと寝てばかりで元気がない」「食欲が落ちてしまい、何かの病気かも」と感じたことはありませんか?犬の元気のなさや食欲不振は、加齢や季節的なものと思われがちですが、実は「甲状腺機能低下症」という病気が隠れていることがあります。

 

甲状腺機能低下症は、犬の代謝をつかさどるホルモンが不足することで心身ともに活力を失ってしまう病気です。初期は無症状であることも多く、気づいたときには症状が進行していることも少なくありません。しかし、早期に発見し治療を始めれば、投薬によって症状を改善し、快適な生活を取り戻せます。

 

今回は犬の甲状腺機能低下症について、原因や症状、治療法、日常で気をつけるポイントまで詳しく解説します。

 

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■目次
1.犬の甲状腺機能低下症とは
2.主な症状と見分け方
3.診断方法と治療方法
4.予防と日常のケア
5.よくある質問(Q&A)
6.まとめ

犬の甲状腺機能低下症とは

犬の甲状腺は喉の左右に1つずつある臓器で、生命を維持するために欠かすことのできない「甲状腺ホルモン」を作り出して分泌する働きがあります。犬の甲状腺機能低下症は、この甲状腺ホルモンをうまく分泌できなくなってしまう病気で、中齢の犬で比較的よく見られます。

 

犬の場合は甲状腺そのものの異常によって起こることがほとんどで、自己免疫疾患による甲状腺の破壊や、原因不明の甲状腺萎縮が原因で起こります。また、その他にも副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)や腫瘍が原因で起こることもあります。

 

甲状腺ホルモンは代謝をつかさどるホルモンで、新陳代謝を促して心拍数や体温を上げたり、自律神経を整えたりする働きがあります。そのため、甲状腺ホルモンの量が少なくなると全身のさまざまな機能が低下して、心身ともに活力がなくなってしまいます

 

主な症状と見分け方

初期の段階では無症状であることも多いのですが、甲状腺の75%以上が障害されてしまうと、以下のような症状が見られるようになります。

 

<無気力>

元気がなくなって寝ている時間が増えたり、運動をしたがらなくなったりします。

 

<体重増加>

食欲に変化がなかったとしても代謝が落ちるため、体重は増えます。

 

<被毛の変化>

被毛が細くもろくなったり、痒みを伴わない脱毛が見られたりします。また、尻尾の毛が全体的に薄くなる「ラットテイル」も、この病気の特徴のひとつです。

 

<皮膚の問題>

色素沈着や皮膚の肥厚など、皮膚の異常も多く見られます。また、膿皮症を発症しやすくなり、なかなか膿皮症が治らない場合には、甲状腺機能低下症の影響が疑われます。

 

愛犬の皮膚トラブルについてはこちらから

 

診断方法と治療方法

診断では問診や身体検査を行った後、血液検査を行います。ただし、一般的な血液検査では甲状腺ホルモンの機能を調べることはできません。そのため、症状や高脂血症などから甲状腺機能低下症が疑われた場合には、ホルモン検査を行うことで診断します。

 

主な治療方法は薬物療法で、甲状腺ホルモン製剤を使って、不足している甲状腺ホルモンを補います。治療開始後は定期的に通院していただき、甲状腺の機能を評価して投薬量を調整していきます。

 

予防と日常のケア

しっかりと投薬することで、治療開始後1週間ほどで活動性が回復し、被毛や皮膚の問題も数カ月程度で改善します。場合によっては食事療法やシャンプー療法などを自宅で行っていただくこともあるため、獣医師の指示に従い、投薬やご自宅でのケアを忘れないように気をつけましょう。

 

また、甲状腺機能低下症は予防が難しく、初期の段階では症状が見られないケースも少なくありません。そのため、いち早く病気の存在に気がつくためには、定期健康診断を受けることが何よりも大切です。

 

よくある質問(Q&A)
Q1:犬の甲状腺機能低下症は完治しますか?

残念ながら、完治はしません。そのため、生涯にわたって治療を続けていく必要があります。

 

Q2:どのような犬種に発症しやすいでしょうか?なぜでしょうか?

4〜10歳くらいの中型犬や大型犬が発症しやすく、特に以下のような犬種では遺伝性の自己免疫疾患が起こりやすいため、好発します。

 

・ダックスフンド
・ゴールデンレトリーバー
・ビーグル
・ドーベルマン
・ミニチュアシュナウザー
・グレートデン
・コッカー・スパニエル

 

まとめ

犬の甲状腺機能低下症は、初期は気づきにくく、進行すると全身にさまざまな不調を引き起こす病気です。しかし、早期に発見して治療を続ければ、多くの犬が元気な日常を取り戻せます。

 

特に、4歳を過ぎた中高齢の犬や好発犬種は、年に1〜2回の定期健診で甲状腺ホルモン値をチェックすることが重要です。

 

愛犬に「何か元気がない」「毛が薄くなった」など少しでも気になる症状があれば、すぐに動物病院に相談しましょう。早期発見・早期治療が、愛犬の快適な未来を守ります。

 

 

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