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犬の肺葉捻転について|呼吸がしづらくなる病気

「肺葉捻転」という病気について耳にしたことがないという人も多いのではないでしょうか。肺葉捻転とは、何らかの拍子に肺の一部(肺葉)がねじれてしまう病気で、特に胸が深い大型犬に多いといわれています。肺葉がねじれると呼吸が苦しくなってしまうため、迅速な対応が求められます。

 

今回は犬の肺葉捻転について、検査の重要性や予防方法などをご紹介します。

 

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■目次

1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

原因

犬の肺は7つの領域に分かれていて、その1つ1つを「肺葉」といいます。
肺葉捻転は、肺葉が根元からねじれて肺葉へ血液がうまく供給されず、壊死して機能を果たせなくなってしまう状態のことです。
その原因は詳しくわかっていませんが、胸管のリンパ流量の増加によって、胸腔内に乳び胸水が貯留する乳び胸という疾患などが関連しているケースが多いのではないかと考えられています。

 

また、アフガン・ハウンドなど胸が深い大型犬は肺葉がねじれやすいともいわれています。しかし、パグやマルチーズなどの小型犬でも報告されています。

 

症状

咳をする
食欲がなくなる
呼吸が苦しそう
呼吸が荒い など

 

これらの症状は急に起こることもあれば、何カ月も続く場合があります。

 

診断

診断には、画像検査が必要不可欠です。

 

まずは、X線検査で胸の様子を確認します。肺葉捻転の場合、肺が圧迫されている様子や胸水の確認である程度の推測は可能ですが、治療に結び付けるにはCT検査を行う必要があります。

 

基本的にはX線検査と同じ様子が観察できますが、CT検査ではどの肺葉に異常がみられるのかまで確認することができます

 

画像診断についてはこちらから

 

治療

肺葉捻転は手術でしか治療できず、ねじれた肺葉は壊死しているため切除する必要があります
無事に手術が終了すれば、問題なく生活できることが多いのですが、胸を開けて肺葉を切除する手術は犬にとって負担が大きく、非常にリスクが高い手術です。
なぜなら、肺の周囲には動脈や静脈、神経が存在し、さらに近くに心臓もあるため、おなかを開ける手術よりも高度な技術を要する手術となるからです。

予防法やご家庭での注意点

アフガン・ハウンドやパグなどの犬種がいる家庭では、他の犬よりも発症リスクが高いため、飼い主様は日頃から愛犬の呼吸の様子に注意しましょう。

 

また、交通事故などのケガが発症に関わるといわれていますが、事故直後でなくても肺葉捻転になるケースがあるため、事故直後はすぐ動物病院を受診し、その後1カ月ほどは症状が発症しないかを注意深くみていただくことをお勧めします。

 

まとめ

呼吸が苦しくなる病気はたくさんあるため、肺葉捻転を治療するには、画像検査でしっかりと診断することが重要です。当院ではCT機器を保有しているため、他院に転院することなく、より正確で迅速な診断が可能です。愛犬に苦しそうな様子がみられたら、早めに動物病院を受診しましょう。

 

年中無休で動物たちの健康をサポートします

千里桃山台動物病院

病院概要はこちらから

<参考>

Lung lobe torsion in 35 dogs and 4 cats – PMC (nih.gov)

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