犬の椎間板ヘルニアについて｜ミニチュア・ダックスフンドに多い病気

症例報告

犬の椎間板ヘルニア

千里桃山台動物病院

椎間板ヘルニアは、椎間板の構造物（髄核や線維輪）が変性し、脊髄が圧迫されることで起こる神経の病気です。犬で多く、特にミニチュア・ダックスフンドなどは遺伝的に頻発することが知られています。

痛みや四肢の麻痺、運動失調といった症状が現れますが、こうした症状はその他の神経病で発生することもあるため、正確に診断して治療するにはCTやMRIなどの高度な検査機器が必要不可欠です。

今回は犬の椎間板ヘルニアについて、その原因や注意すべき症状を解説するとともに、当院での診断・治療方針をお伝えします。

■目次
1.原因
 2.症状
 3.診断方法
 4.治療方法
 5.予防法やご家庭での注意点
 6.まとめ

原因

椎間板ヘルニアは発生原因によって２つに分類されます。
１つはハンセンⅠ型と呼ばれ、脊髄の下を走る髄核が変性して、その周りを取り囲む線維輪から脱出し、脱出した髄核そのものが脊髄を圧迫することで発症します。
このパターンは急性に起こることがほとんどで、ミニチュア・ダックスフンドやビーグルといった軟骨異栄養犬種で遺伝的に多いことが知られています。

もう一方はハンセンⅡ型と呼ばれ、線維輪が変性して脊髄を圧迫することで発症します。こちらは加齢性かつ慢性に起こることが多く、高齢になればどんな犬種でも発症する可能性があります。

症状

症状は、発生部位やその進行度合いによって様々です。頚部椎間板ヘルニアの場合、首の骨を通る脊髄が圧迫されるため、首に強い痛みを感じます。頭を上げることが困難になり、上目遣いをする、首に触られることを嫌がるといった症状がみられます。
さらに重症化すると、四肢の麻痺によって歩けなくなるケースもあります。

また胸腰部椎間板ヘルニアの場合は、胸から腰にかけて通る脊髄が圧迫されるため、背中に痛みを感じます。病気が進行すると、ふらついたり、後ろ足が麻痺して歩行できなくなったり、痛みを感じなくなったりする可能性もあります。

診断方法

動物病院では、実際に歩く様子を観察するとともに神経学的検査を実施して、どこに異常がみられるのかを推測します。あわせて、X線検査で骨や関節の病気を除外することもあります。
こうした検査でおおよその判断はできますが、正確に診断して後の治療（手術）に結び付けるには、CTやMRIなどの高度な検査機器を組み合わせて検査する必要があります。

これらの検査機器がある病院は限られているため、別の動物病院に行って検査を行ったり、画像診断センターに検査を依頼したりすることも多いのですが、当院ではＣＴやＭＲＩを導入しているため、転院することなくワンストップで検査を実施できるという強みがあります。

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