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犬と猫の脳腫瘍について|中高齢の犬に多い病気

足取りがおぼつかない、けいれんする、行動や性格が変わってきた、といった症状がみられた場合、もしかするとそれは脳の異常を示しているかもしれません。犬や猫では多くはないものの、脳腫瘍によってこれらの症状が現れている場合があります。

 

今回は犬や猫の脳腫瘍についてその原因や症状、当院での診断や治療法を紹介します。

 

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■目次
1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

原因

脳腫瘍には、原発性転移性の2種類があります。

 

〈原発性〉

半分ほどが髄膜腫と呼ばれるもので、それ以外にも神経膠腫や脈絡叢腫などがあります。
髄膜腫は脳を包む膜(髄膜)が腫瘍化したもので、外側から脳を押しつぶしてしまいます。
一方で、神経膠腫や脈絡叢腫は脳そのものが腫瘍化したものです。神経膠腫は短頭種でよくみられるため、遺伝が関わっていると考えられていますが、その他の脳腫瘍が発生する明確な原因はわかっていません。

 

〈転移性〉

他の臓器や器官にできた腫瘍が脳まで転移することで発生し、リンパ腫、甲状腺癌、乳癌、血管肉腫、悪性黒色腫など様々な悪性腫瘍が考えられます

 

なお、脳腫瘍は原発性・転移性を問わず、中高齢の犬に多いことが知られています。

 

症状

脳腫瘍は脳に炎症や浮腫を引き起こすため、以下のような症状が現れます。

 

けいれん発作
ぐったりとする
食欲がない
体重が減る など

 

また、脳腫瘍の場所によっては、性格が変わったり、うまく歩けなくなったりするケースもあります。

 

診断

その他の病気と区別するため、まずは血液検査X線検査などを実施します。

 

これらの検査でその他の病気がある程度除外できた場合は、脳の状態をより細かく調べるために、MRI検査へと進みます。

MRI検査では詳細な分析が可能ですが、検査には全身麻酔が必要です。全身麻酔でのリスクもあるため、持病がある場合などは現状と今後の診断や治療方針について詳しくご説明させていただいたうえで、実施の可否を判断します。

 

当院ではMRIを活用し、正確な診断を行うことが可能です。
当院の高度画像診断についてより詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。

 

MRI検査についてはこちら

 

治療

脳腫瘍の場所や大きさ、腫瘍の種類によっても異なりますが、一般的には手術や放射線治療、化学療法(抗がん剤)といった治療を行います。手術で腫瘍がすべて取り切れればよいものの、転移性の場合などは脳以外にも腫瘍があって弱っているケースが多いため、手術を実施しても犬の負担が大きくなってしまい、生活の質(QOL)が保たれない可能性があります。
そのような場合は症状の緩和を目的として、抗てんかん薬などの薬による治療をお勧めすることもあります。

 

予防法やご家庭での注意点

中高齢の犬の行動や性格の変化は「年だから仕方ないかな…」と見過ごされがちですが、脳腫瘍の可能性もあるため、今回ご紹介したような症状が現れたら早めに動物病院を受診しましょう。

 

まとめ

脳腫瘍は診断や治療が難しい病気ですが、正確に診断できれば、残された時間をよりよく過ごすためのご提案が可能です。
また、けいれん発作などの症状は別の病気によって引き起こされているかもしれないので、ご自身で判断せずに早めに動物病院を受診しましょう。

 

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<参考>

Canine Primary Intracranial Cancer: A Clinicopathologic and Comparative Review of Glioma, Meningioma, and Choroid Plexus Tumors – PMC (nih.gov)

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