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犬と猫のてんかんについて|診断方法や家庭での注意点を解説
犬と猫のてんかん
千里桃山台動物病院
てんかんとは、脳の中で強い異常な電気信号が出てしまうためにけいれんなどの発作が繰り返し起きてしまう脳の慢性的な病気です。
最近では CTやMRIといった高度画像診断装置を導入する病院が増えてきており、より正確に原因を突き止めることができるようになりました。
今回は犬と猫のてんかんやCTやMRIを用いた診断法などを詳しく解説します。
■目次
原因
犬や猫では、てんかんを人のように詳細に分類することが難しいのですが、原因によって大きく3つに分けられます。
・特発性てんかん
血液検査やMRI検査などをしても、なにも原因が見つからないのに起こるてんかんを指します。
一般的に、犬は猫よりも特発性てんかんの発症率が高く、犬での発生率は1~2%程度と言われています。
・症候性てんかん
水頭症や脳ヘルニア、脳腫瘍や脳脊髄炎、頭部外傷などの様々な病気が原因で起こるてんかんを指します。一般的に、脳腫瘍や脳梗塞、脳出血は高齢の犬や猫での発症が多く、脳炎の場合は比較的若い年齢で発症することが多いとされていますが、様々な年齢で発症が知られています。
・おそらく症候性てんかん(潜因性てんかん)
症候性てんかんが疑われるものの、明らかな病変が認められないものや、特発性てんかんと考えられるが、症候性てんかんを除外できないものを指します。
症状
てんかんの発作には、1本の足だけがピクピクとけいれんする、口をカチカチとさせるような一定の行動を繰り返すといった焦点性発作と、一般的に「発作」としてよくイメージされる、全身が突っ張る強直性けいれんや全身がガクガクと震える間代性けいれんがみられる全般発作があります。
診断方法
まずは問診によって発作時の状況や重症度などを確認します。この時に発作の様子を記録した動画があれば非常に役立ちます。
続いて、身体検査や血液検査、神経学的検査を行い、全身の健康状態や神経の反射、知覚などの状態を確認します。症候性てんかんでは、多くの場合に神経学的検査で異常が認められます。脳や脊髄の異常が疑われた場合はCTやMRI検査を行い、脳や脊髄の状態を詳しく確認します。
てんかんの診断において、CTやMRIを用いた高度画像診断検査は非常に大きな役割を持ちます。特にMRI検査は、炎症や脳血管障害、腫瘍の有無などをより詳細に評価できるため大きなメリットとなります。
当院ではCTとMRI双方を活用し、正確な診断を行うことが可能です。
当院の高度画像診断についてより詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
治療方法
てんかんの治療は、抗てんかん薬という発作をコントロールするお薬を使う対症療法が基本となります。
抗てんかん薬による治療を行っても、発作を0にすることは難しく、多くの場合、治療を行っていても、いくらかの発作を起こしてしまいます。抗てんかん薬による治療の目標は、発作の頻度を低下させ、ペットの生活の質(QOL)を維持することにあります。
また、基本的に抗てんかん薬は生涯飲み続ける必要があります。
予防法やご家庭での注意点
てんかん発作を起こしても、まずは慌てないことが重要です。てんかん発作、特に全般発作を起こしている犬や猫は、意識がなく周りの状況がわからなくなっています。無理に抑えつけようとすると、噛まれたり引っ掛かれたりして飼い主様自身が怪我をしてしまうこともあります。
まずは、無理に触らずに、そっと見守ることが必要です。てんかんの治療経過や発作が起きた時の時間や様子を記録する「てんかん日記」を作成しても良いでしょう。
現時点でてんかん発作を完全に予防する方法はありませんが、強いストレスや大きな音や光、気圧の変化などが発作の引き金になっている場合があるので注意してください。
また、飼い主様の自己判断で休薬せず、不安な場合は獣医師に相談しましょう。
まとめ
犬や猫のてんかんは発作が繰り返し起こる脳の病気で、残念ながら治る病気ではありません。しかし、抗てんかん薬を使って発作の回数や症状の程度をコントロールしていけば、普段通りの生活を送ることも可能です。
獣医師と飼い主様が密接に協力して治療を継続していくことが何より大切です。
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千里桃山台動物病院