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【獣医師監修】犬の歩き方がおかしい?|症状別・考えられる原因と対処法
愛犬の歩き方に変化が見られたら、それはもしかしたら病気のサインかもしれません。歩行異常を引き起こす原因は多岐にわたり、病気によるものから加齢性の変化まで様々です。歩行異常は放置すると元に戻らなくなってしまう可能性もあるため、飼い主様がちょっとした変化を見逃さず、早期治療につなげることが大切です。
今回は、犬の歩き方がおかしい場合に考えられる原因や予防法、受診のタイミングなどを解説します。
■目次
1.気をつけたい歩き方の変化
2.年齢別でみる主な原因
3.考えられる疾患
4.自宅でできる観察ポイント
5.予防と対策
6.受診のタイミング
7.まとめ
気をつけたい歩き方の変化
愛犬の歩き方に以下のような変化が見られる場合、病気のサインである可能性があります。
・足を引きずる
・よろめく
・バランスを崩す
・足を挙げる
・足に力が入らない
・歩幅や足の出し方に左右差がある
・歩き出しがぎこちない
・階段の上り下りをしなくなった
急性の場合は突然歩き方がおかしくなるため、比較的早期の段階で症状に気が付くケースが多く見られます。
しかし、慢性の場合、最初のうちは「なんとなく歩き方がおかしい気がする」といった程度の症状しか見られないことも少なくありません。様子を見ているうちに徐々に悪化していくため、動物病院の受診が遅れる傾向にあります。
年齢別でみる主な原因
歩行異常を引き起こす原因は様々で、年齢によってそれぞれ特徴があります。
<子犬・若犬の場合>
・成長期の問題
・先天的な異常など
<成犬の場合>
・事故
・ケガ
・関節の問題など
<高齢犬の場合>
・加齢性の変化
・神経疾患など
高齢犬の場合、加齢性の変化なのか、病気からくるものなのかを見分けることが難しいです。加齢性の変化は後ろ足から始まることが多く、筋肉が落ちて足腰がどんどん細くなっていきます。最初のうちは首を下げて小さな歩幅でトボトボと歩き、筋力の低下に伴って次第に立ち上がることが難しくなり、最終的に寝たきりになります。ただし、病気との見分けがつかない場合は、早めに動物病院で検査を受けましょう。
また、犬種によっても考えられる原因が異なり、遺伝的に大型犬は股関節の問題が、小型犬は膝関節の問題が起こりやすいという特徴があります。
考えられる疾患
歩行異常を引き起こす疾患としては、以下のようなものが挙げられます。
<整形外科的な問題>
・関節炎
・脱臼
・骨折 など
<神経系の疾患>
・椎間板ヘルニア
・脊髄腫瘍
・前庭障害
・脳炎
・脳腫瘍 など
<内科的な病気>
・心臓病
・熱中症 など
自宅でできる観察ポイント
愛犬の歩き方がおかしいと感じたら、普段との歩き方の違いや足の状態、考えられる原因が生活環境に潜んでいないかどうかなどをよく観察してみましょう。
<普段の歩き方を動画で記録>
歩行異常にいち早く気がつくためには、普段の歩き方を把握しておく必要があります。そのため、普段の歩き方を動画で記録しておくと、客観的に歩き方を評価することができます。
<痛がる部位や程度をチェック>
可能であれば、手足を1本ずつ触ったり曲げ伸ばしをしたりして、嫌がったり痛がったりしないかどうかチェックしてみましょう。ただし、必ず優しくゆっくり確認し、必要以上に触りすぎないようにしましょう。
<生活環境の確認>
生活環境によっては、足腰に負担をかけている可能性があります。まず確認すべきポイントは床材です。フローリングなどの滑る床材は足腰に負担がかかり、転んでケガをする恐れもあります。
ほかにも、確認すべきポイントが段差の有無です。階段や高さのあるソファーなどで上り下りが自由にできてしまうと、ジャンプの際に足腰に負担がかかったり、落下してケガをしたりするリスクがあります。
予防と対策
歩行異常を引き起こすような病気やケガを予防するためには、日頃から以下のような対策をしておくことが大切です。
<適切な運動>
まずは毎日散歩に行く習慣をつけましょう。適切な散歩量は犬の大きさによって大きく異なり、例えば小型犬であれば1日2回、各20分程度、中型犬であれば1日2回、各30分程度、大型犬であれば1日2回、各1時間程度が目安になります。
また、散歩だけで運動量を確保できない場合は、ボールを投げて持ってこさせるなどの室内遊びを積極的に取り入れましょう。
<体重管理>
体重が重くなると足腰への負担が大きくなります。そのため、適度な運動や食事管理によって、適正体重をキープすることが大切です。フードは年齢に合ったものを選び、体重に合った量をしっかり計測しましょう。また、主食は総合栄養食のみとして、おやつは極力控えましょう。
<室内環境の整備>
滑りやすい床材は足腰に負担をかけてしまうため、カーペットを敷くなどしましょう。また、段差の上り下りも足腰へ負担をかける恐れがあるため、階段の前にゲートを設置したり、高さのあるソファーを低いものに変えたり、スロープを設置したりするとより安心です。
<定期的な健康診断の必要性>
どんなに気をつけていても完全に予防することはできません。発見が遅れると治療をしても元に戻らないこともあるため、定期的に健康診断を受け、早期発見・早期治療を心がけましょう。
受診のタイミング
症状が一過性であれば、様子を見ても問題ないことがほとんどです。念のため激しい運動や段差の上り下りは避け、安静に過ごしましょう。ただし、何度も繰り返す場合は何かしらの異常が疑われるため、早めに動物病院を受診してください。
ほかにも、手や足が腫れて熱感をもっている場合や立ち上がれない場合、呼吸が苦しそうな場合などは緊急性が高いため、直ちに動物病院を受診しましょう。
動物病院ではまず問診や触診、歩行検査、神経学的検査などを行い、症状を確認します。その後、必要に応じて血液検査やレントゲン検査などを行ったり、より詳しく原因を調べるためにCT検査やMRI検査を行ったりすることもあります。
まとめ
犬の歩行異常は様々な原因から起こります。関節や神経などの病気が原因で起こることもありますが、高齢犬で後ろ足が弱い場合には加齢性の変化が原因となっている可能性もあります。そのため、ご自宅でも歩き方やどの足が痛むのかなどを確認していただき、病気が疑われる場合は早めに動物病院を受診しましょう。
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