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【緊急チェックリスト付き】犬の腸閉塞とは?症状・原因・治療法を徹底解説
最近、「愛犬の元気がない」「何度も吐いていて心配」と感じたことはありませんか?
そんなときに考えられる病気のひとつが「腸閉塞」です。犬の腸閉塞は、誤飲や腫瘍、腸捻転などが原因で腸が詰まり、消化物が通過できなくなってしまう状態を指します。放置すると重篤な症状を引き起こし、命に関わる可能性もあるため、早期発見と迅速な対応が大切です。
今回は犬の腸閉塞について、症状や原因、診断・治療方法、ご自宅でのケアや予防法までを獣医療の視点からわかりやすく解説します。また、万が一のときのために役立つ「緊急チェックリスト」もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
■目次
1.犬の腸閉塞とは?緊急性のある症状チェックリスト
2.原因
3.診断方法
4.治療方法
5.ご自宅でのケアと予防法
6.まとめ
犬の腸閉塞とは?緊急性のある症状チェックリスト
犬の腸閉塞とは、異物や病気などが原因で腸の中を内容物が正常に通過できなくなってしまう状態です。この状態が続くと、腸が圧迫されて血流が悪くなり、最悪の場合には腸が壊死したり、腸の内容物が漏れ出して腹膜炎や敗血症を引き起こしたりすることがあります。特に急性腸閉塞の場合は、数時間単位で容態が悪化することもあるため、注意が必要です。
以下のような症状が見られた場合は、腸閉塞の可能性があり、緊急性が高い状態です。該当する項目が一つでもあれば、すぐに動物病院を受診してください。
<緊急チェックリスト>
このような症状が見られた際は自己判断せず、早急に動物病院で診察を受けるようにしてください。
原因
腸閉塞を起こす主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
<異物誤飲>
おもちゃの破片やタオル、ビニール袋、骨などを誤って飲み込んでしまうことにより、それらが腸の中で詰まり、腸閉塞を引き起こします。特に紐や布のような柔らかく長いものは、腸を巻き込むように移動して腸を傷つけ、穿孔(腸に穴が開く)を起こすこともあり非常に危険です。
<腫瘍>
腸の中にできた腫瘍が大きくなることで、腸の通過を妨げて腸閉塞を引き起こすことがあります。腫瘍が原因の場合は、徐々に進行しながら食欲不振や嘔吐、下痢、体重減少などの症状が現れます。特に中高齢の犬に多く見られるため、年齢とともに注意が必要です。
<腸捻転>
腸がねじれてしまうことで血流が遮断され、短時間で壊死やショック状態を引き起こします。突然の激しい痛みや嘔吐、虚脱などの症状が見られ、早急な外科的処置が必要となります。
<その他の原因>
腸の炎症や重度の寄生虫感染、過去の手術による癒着なども腸閉塞の原因となることがあります。これらは比較的まれですが、症状が出た際には総合的な診断が重要です。
診断方法
腸閉塞が疑われる場合、正確な診断を行うためには複数の検査が必要です。当院では、大学病院レベルの設備を整えており、迅速かつ高精度な診断が可能です。
<問診・身体検査>
まずは飼い主様から自宅での様子や食事・排泄の状況を丁寧に伺います。次に触診でおなかの張りや痛み、異物が触れるかどうかを確認します。
<レントゲン検査>
おなかの中に異物があるか、腸にガスが溜まっていないかを確認します。金属や骨などはレントゲンに映りやすいため、診断の初期段階でよく用いられます。
<超音波検査>
布類や食品、ビニールなどの異物はレントゲンには写りません。そのため、超音波検査を行うことで、レントゲンで写らなかった異物を確認します。また、腸の動きや構造をリアルタイムで観察できるため、腸の健康状態を詳細に把握できます。
また、大阪府吹田市にある当院では大学病院レベルの検査機器を揃えており、以下のような精密検査を行うこともできます。
<CT検査>
レントゲン検査やエコー検査は平面画像での撮影になりますが、CT検査では腸の内部を立体的に観察することができるため、小さな病変や奥まった異物も見逃しません。また、解像度が高いため、通常のレントゲンや超音波でわからなかった異常の発見に有効です。
<内視鏡検査>
内視鏡を口から挿入することで、食道や胃の中にある異物を確認します。また、場合によってはそのまま摘出することもできるため、開腹手術をせずに治療を行うことも可能です。
治療方法
犬の腸閉塞の治療は、症状の重症度や原因によって異なります。治療の選択肢としては以下の3つが挙げられます。
<内科的治療>
症状が軽度で、異物が小さく自然に排出される可能性がある場合には、点滴や投薬(抗炎症薬や抗生剤)による内科的治療で様子を見ることがあります。また、脱水症状を防ぎながら、排便の状態を観察していきます。
<内視鏡による異物除去>
内視鏡が届く位置に異物がある場合は、開腹せずに取り除けるケースもあります。体への負担が少なく、回復も早いのがメリットです。
<外科的治療(手術)>
内視鏡が届かない場所に異物が詰まっている、異物が大きい、腸が壊死している、腸捻転があるなどの場合には、手術によって腸を切開し、詰まりを取り除く必要があります。重症化している場合は、一部の腸を切除することもあります。
ご自宅でのケアと予防法
診断後に内科的治療で経過観察となった場合や、手術後の自宅療養時には、飼い主様のケアが重要です。
治療後は、犬の元気や食欲、排泄の様子を毎日観察してください。排便の回数や色、形に変化がある場合は、すぐにかかりつけの動物病院に相談しましょう。また、手術後であれば、獣医師の指示に従い安静を保ち、過度な運動は避けてください。
予防として、日常生活の中で異物を口にしないよう環境を整えることが大切です。例えば床に物を置かない、遊ぶおもちゃのサイズや素材に注意する、散歩中は拾い食いをさせないなど、飼い主様ができる工夫が多くあります。
さらに、腫瘍などが原因となる場合は、定期的な健康診断を受けることで早期発見につながります。特にシニア犬は半年ごとの健診をおすすめします。
まとめ
犬の腸閉塞は、早期に対応することで回復の可能性が大きく異なります。軽い症状と思っていても、実は命に関わる重大な疾患である場合もあります。
当院では、最新の検査機器と専門知識をもとに、犬の体にできるだけ負担をかけず、正確な診断と最適な治療を行っております。CTや内視鏡検査も可能ですので、「緊急チェックリスト」に一つでも該当する症状がある場合は、迷わずご連絡ください。
愛犬の健康と命を守るために、早めの行動が何よりも大切です。
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