- 見逃すと命に関わることも!|犬や猫の急性膵炎と慢性膵炎
- 愛犬の食欲不振と無気力は要注意|犬の甲状腺機能低下症の基礎
- 愛犬の目が白い…|犬の白内障の症状と治療法を完全解説
- 愛犬の咳が止まらない…動物病院に行くべき?|考えられる原因と対処法を症状別に解説
- 犬の耳のかゆみ、放っておかないで!考えられる原因や症状と動物病院で治療が必要なケースについて
- 犬のお腹が膨らむ理由とは?もしかして病気?|気になる症状の見分け方
- 愛犬の皮膚トラブル|赤みの原因と治療法、見逃せない症状とは
- 【獣医師監修】犬の歩き方がおかしい?|症状別・考えられる原因と対処法
- 猫の尿が出ない!?|危険な尿閉の症状と緊急対応
- 【獣医師監修】猫の血尿、放置は危険?|考えられる原因と治療法
- 猫が食べない・口が痛そう|症状と原因、考えられる病気とは
- 季節の変わり目に注意|犬の鼻水(鼻汁、鼻炎)について
- 猫の慢性腎不全について|早期発見がカギ!
- 犬の血便について|原因は食べ物?ストレス?
- 犬の歯茎の腫れ|原因と対策を徹底解説
- 愛犬・愛猫が首をかしげる仕草は、かわいいだけじゃない?|健康サインを見逃さないために
- 愛犬や愛猫の痙攣・発作|飼い主様が知っておくべき対処法と予防策
- 【吹田市】犬と猫の腫瘍治療について┃当院の特徴をご紹介
- 【豊中市】犬と猫のための歯科をお探しの方へ|愛犬や愛猫の健康を守る動物病院
- 夏に急増する!?|愛犬や愛猫の皮膚トラブルについて
- 獣医師が警告!|愛犬や愛猫の嘔吐・下痢のガイド
- 犬と猫のおなかが張っている?|もしかしたら病気のサインかも?
- 犬や猫の歩き方が変、背中が痛そう…|もしかしたら病気の疑いがあるかも?
- 犬や猫の避妊・去勢の重要性について|早期に行うことで健康上にメリットが!
- 犬と猫の口臭と歯石除去(スケーリング)について|日々の口腔ケアが大切
- 犬と猫の一般的な腫瘍の種類と症状|早期発見が重要
- 犬の馬尾症候群について|大型犬のオスに多く見られる疾患
- 犬の肺葉捻転について|呼吸がしづらくなる病気
- 犬と猫の脳腫瘍について|中高齢の犬に多い病気
- 犬と猫の脊髄梗塞について|急に足が動かなくなる病気
- 犬と猫の脾臓腫瘤について|高齢の大型犬に多い病気
- 犬の門脈体循環シャントについて|小型犬に多い病気
- 犬の椎間板ヘルニアについて|ミニチュア・ダックスフンドに多い病気
- 犬と猫の肝臓腫瘍について|異常があっても症状が現れないことが多い病気
- 犬と猫のてんかんについて|診断方法や家庭での注意点を解説
- 椎間板ヘルニアの画像診断
- 先天性門脈体循環シャント
症例報告
犬の馬尾症候群について|大型犬のオスに多く見られる疾患
馬尾症候群(ばびしょうこうぐん)とは、変性性腰仙部狭窄症(DLSS)とも呼ばれます。
腰と尾の間にある馬尾と呼ばれる神経が圧迫されることで、痛みを引き起こす神経系の疾患です。
この状態は主に大型犬に見られますが、小型犬にもまれに見られることがあります。
症状は腰や尾の根本周辺で痛みが発生し、股関節形成不全や前十字靭帯断裂などの骨や関節疾患と似た症状を呈します。そのため、診断には慎重さが求められます。
今回は犬の馬尾症候群について、原因や症状、治療法方法などをご紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
馬尾症候群は、主に椎間板ヘルニアなどによる椎間板の変性によって引き起こされる疾患です。馬尾症候群は、腰と尻尾の間にある神経やその周辺の血管が圧迫されることで症状が現れます。
また、これらは先天性と後天性の下記の2つに分類されます。
<先天性>
生まれつき骨の奇形による異常(椎間孔が狭いなど)が原因で発症します。
<後天性>
主にハンセン2型椎間板ヘルニアが原因であることが多く、それ以外にも関節を支える靭帯の肥厚や関節包の肥大、骨軟骨症などにより、馬尾が圧迫されることでも発症します。
この疾患は、「ジャーマン・シェパード・ドッグ」「ラブラドール・レトリーバー」といった大型犬のオスに多く見られますが、トイプードルのような小型犬にも発症することがあります。
症状
神経系の疾患では身体に麻痺を起こすことが一般的ですが、馬尾症候群の場合、特に腰や尻尾の付け根の痛みが目立つことが多いです。そのため、
・歩き方に違和感がある
・歩き回る回数が減る
・座るのを嫌がる
・すぐには立ち上がれなくなる
・段差を避ける
・頻繁に腰を気にする
といった症状が見られます。
ただし、痛みだけでなく、後ろ足を引きずることもあり、症状が進行すると後ろ足が麻痺し、歩行困難を伴う場合もあります。
さらに、病状が重度になると、尿失禁や便失禁が発生することもあります。
これらの症状は馬尾症候群だけでなく、他の神経系の疾患や、股関節炎のような整形疾患の問題でも発生する恐れがあるため、正確に診断するためには慎重に検査を行う必要があります。
診断方法
まずは、愛犬の日常生活での様子をうかがい、実際に歩いたり座ったりなどの動作を観察することで、どのような症状が現れているのか、どこに問題が発生しているのかを確認し、可能性がある箇所を特定します。
X線検査により骨の状態は全体的に把握できますが、椎間板や神経組織の詳細な様子はCTやMRI検査を実施しなければわかりません。これらによって得られた情報を総合的に判断し、適切な治療方針を立てていきます。
治療方法
治療は、内科療法と外科療法(手術)の2つがあります。
軽度の場合は、内科療法を行います。神経圧迫による痛みを和らげるための消炎鎮痛剤の投与、ステロイドの処方をします。
薬物療法で改善が見られない重度の場合は、外科療法による治療を行う必要があります。
手術では、神経への圧迫を軽減させるための減圧術とともに、背中の骨が動かないようにする固定術を組み合わせて行うことが一般的ですが、犬の具体的な状況に応じて減圧術のみを行う場合もあります。
予防法やご家庭での注意点
馬尾症候群の予防は困難ですが、特に発症が見られやすい好発犬種(病気などが発生しやすい犬種)を飼育されている場合は、歩行する様子を注意深く観察し、何か異常が見られたら早めに動物病院を受診することが大切です。
まとめ
馬尾症候群の予防は難しく、症状が分かりにくいため、発症に気が付かない飼い主様が多く見られます。
特に発症が見られやすい犬種を飼っている場合は、愛犬の歩き方に注意を払い、普段と変わった様子が見られた場合は速やかに獣医師の診察を受けましょう。早期発見・早期治療により、愛犬にかかるストレス負担を最小限に抑えることで治療の成果も向上させることが可能です。
■当院の関連する記事はこちらで解説しています
犬と猫の脊髄梗塞について|急に足が動かなくなる病気
犬の椎間板ヘルニアについて|ミニチュア・ダックスフンドに多い病気
椎間板ヘルニアの画像診断
年中無休で動物たちの健康をサポートします
千里桃山台動物病院