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【応急処置ガイド付き】犬がチョコレートを食べたらこれを読んで!|ホワイトよりもビターが危険?!

「愛犬がチョコレートを食べてしまった…!」そんな状況に直面すると、驚きや不安からパニックになってしまう飼い主様も少なくありません。

 

チョコレートの誤食は、犬にとって命にかかわる中毒を引き起こす可能性があります。そのため、まずは落ち着いて、正しい対応を取ることが何よりも大切です。

 

そこで今回は、緊急時の対処法やなぜチョコレートが犬に危険なのか、どのような症状が現れるのかなどをご紹介します。

 

犬のチョコレート中毒

 

■目次
1.【緊急】犬がチョコレートを食べてしまった方へ
2.なぜ犬にチョコレートは危険なのか?
3.チョコレート中毒の症状と進行
4.まとめ

 

【緊急】犬がチョコレートを食べてしまった方へ

万が一犬がチョコレートを食べてしまったとしても、必ずしも中毒を引き起こすわけではありません。また、基本的に自宅でできることはなく、いち早く動物病院を受診することが何よりも大切です。

 

そのため、まずは一度深呼吸をして落ち着いてから、以下の手順に沿って、落ち着いて行動しましょう。

 

①食べたチョコレートの量や種類を確認

中毒を引き起こすかどうかは、有毒成分である「テオブロミン」の摂取量によって異なります。テオブロミンはカカオ豆に含まれる成分で、チョコレートの種類によってテオブロミンの含有量は異なります。そのため、テオブロミンの量を計算するためには、チョコレートの種類や量などの情報をある程度把握しておくことが大切です。動物病院にこれらの情報を正確に伝えられるようメモをとりましょう。

 

②動物病院に電話連絡をする

中毒症状が見られる場合、一刻も早く処置を行う必要があります。そのため、動物病院に到着したらすぐに処置ができるよう、受診する前に必ず電話連絡を入れ、状況を説明しましょう。

 

電話の際は、「食べた時間」「チョコレートの種類と量」「現在の様子」などを正確に伝えてください。

 

③獣医師の指示に従って受診する

電話で獣医師の指示に従い、速やかに動物病院へ向かいましょう。診察の際には、チョコレートの残りやパッケージがあれば持参してください。

 

なお、動物病院での処置が不要と判断された場合でも、最低でも24時間は体調の変化に注意し、こまめに様子を観察してください。

 

※注意点:自宅で吐かせるのは絶対にNG

インターネット上では、食塩やオキシドールを使って犬を吐かせる方法が紹介されていることがありますが、これらの処置は大変危険です。食塩中毒や消化管の損傷といった新たなリスクを招く恐れがあるため、必ず獣医師の指示がある場合にのみ処置を行ってください。

 

なぜ犬にチョコレートは危険なのか?

犬にとってチョコレートが危険な理由は、前述したとおり「テオブロミン」という成分にあります。これはカカオ豆に含まれる天然の物質で、人には害がないものの、犬はこの成分を体内で分解・排出するスピードが非常に遅いため、過剰に摂取すると中毒を引き起こすリスクがあります。

 

テオブロミンの含有量はチョコレートの種類によって異なり、以下のような順で多く含まれています。

 

①ビターチョコレート(最も危険)

②ミルクチョコレート(危険)

③ホワイトチョコレート(ごく少量)

 

また、中毒のリスクは犬の体重と摂取量によって異なります。たとえば、体重5kgの小型犬がビターチョコを板チョコ1枚(約50g)食べてしまった場合、致死量に達する可能性があるといわれています。

 

テオブロミンの中毒リスク目安としては、20mg/kg程度で症状が現れる可能性があり、100〜200mg/kgを超えると命に関わる危険があります。体の小さい犬ほど少量で影響を受けやすいため、少しの誤食でも油断は禁物です。

 

チョコレート中毒の症状と進行

チョコレートを食べてから中毒症状が出るまでの時間や症状は、個体差や摂取量によって異なりますが、一般的には食後6〜12時間以内に発症します。以下に、症状の進行段階を時系列でご紹介します。

 

<初期症状(食後数時間以内)>

嘔吐

下痢

落ち着きがなくなる

多飲(水を飲む量が増える)

呼吸が早くなる

 

これらの症状が見られた場合は、早期の受診が重要です。まだ元気に見える場合でも、油断せずすぐに動物病院に相談してください。

 

<中等度の症状(進行した段階)>

興奮状態

多尿(尿の量が増える)

運動失調(ふらつき)

震える

心拍数の増加(頻脈)

 

これらの症状は体への負担が増している段階であり、迅速な処置が必要です。この時点での対応が遅れると、命に関わる状態へ進行してしまう可能性があります。

 

<重篤な症状(高度な中毒)>

・痙攣(けいれん)

・意識障害

・昏睡

・心停止・死亡

 

この段階に至る前に動物病院での治療を受けることが、愛犬の命を守るためには不可欠です。

 

また、残念ながらチョコレート中毒には特効薬が存在しないため、症状に応じた対症療法(催吐処置や胃洗浄、活性炭の投与など)が中心となります。そのため、早期発見・早期対応が、回復への鍵となります。

 

まとめ

チョコレート中毒は、ほんの少しの油断が重大な結果につながる危険性があります。まずは、愛犬の手の届く場所にチョコレートを絶対に置かないという予防が大切です。お子様のおやつやプレゼント用のお菓子など、思わぬ場面で口にしてしまうケースもあるため、常に保管場所には十分注意してください。

 

しかし、どれだけ気をつけていても、誤って食べてしまう可能性を完全にゼロにするのは難しいのが現実です。そのため、いざというときに慌てずに対応できるよう、チョコレート中毒に関する正しい知識を持っておくことが大切です。

 

愛犬がチョコレートを食べてしまった場合は、すぐに動物病院に連絡を入れ、指示を仰いでから適切な行動を取るようにしましょう。決して独断で吐かせたり、様子を見ようと判断したりせず、迅速な対応を心がけてください。

 

当院では、チョコレート誤食を含む中毒に関するご相談も随時受け付けております。少しでも不安な症状が見られた場合は、どうぞお気軽にご連絡ください。獣医師が丁寧に対応し、大切な愛犬の命を守るお手伝いをさせていただきます。

 

<参考>
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/27/1/27_28/_pdf/-char/ja 

 

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