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症例報告
犬と猫の肝臓腫瘍について|異常があっても症状が現れないことが多い病気
犬と猫の肝臓腫瘍
千里桃山台動物病院
肝臓腫瘍は腫瘍が大きくなるまで特徴的な症状を示さないことが多く、発見した時には手遅れになってしまうことも多い危険な腫瘍です。
今回は犬と猫の肝臓腫瘍の症状や治療法、さらにCTを含めた診断法などを詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
肝細胞癌などの臨床上問題となる肝臓腫瘍は悪性腫瘍であることが多いため、直接的な原因(ウイルスや細菌、食生活など)はありません。医学領域で報告されているようなウイルス性肝炎や肝硬変が発がんと関連しているという報告はなく、詳しい原因は現在も不明です。
症状
肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれるほど、異常があってもなかなか症状が現れません。肝臓腫瘍が大きくなり周囲の臓器や消化管を圧迫すると、食欲不振や嘔吐、下痢、体重減少、腹水などの症状を示すことがあります。
このような症状が出ていると、すでに腫瘍が大きくなって取り切れなかったり、他の臓器に転移してしまっていたりすることが多いので、定期的に健康診断を受けていただき、早期発見・早期治療に努めることがとても大切です。
診断方法
症状では判断しづらいため様々な検査で診断を行います。
・身体検査
初期段階では異常を認めないことがほとんどです。腫瘍が大きくなると、消化管の圧迫によって下痢や嘔吐、食欲低下などの消化器症状を示すことがあります。
・血液検査
普段の診療や定期健診などで多く行われる検査であり、ALPやALTなどの肝酵素値の上昇が認められます。腫瘍の破裂などがなければ、貧血は通常軽度であり、非再生性 (新しい赤血球が十分に作られていない状態)です。血液検査で肝酵素の上昇を認めれば、レントゲン検査やエコー検査、CT検査などの画像診断に進みます。
・レントゲン検査
肝臓の大きさに問題がないか、肺や脾臓、消化管などのその他の臓器に異常が認められないか確認します。肝臓腫瘍が大きくなると肝臓が腫大するため、レントゲン上でも判断できますが、初期の段階ではレントゲン検査だけで肝臓腫瘍を診断することはできません。
・腹部エコー検査
肝臓腫瘍の診断として最も行われる検査であり、肝臓腫瘍の大きさや数、解剖学的な位置などを確認します。肝臓腫瘍は正常な肝臓よりもエコー源性が高く (エコーで正常な肝臓より白く見える)、内部もザラザラと不整に見えることがあります。超音波造影剤 (ソナゾイド)を用いた超音波造影法も悪性腫瘍の鑑別に有効です。
・CT検査
肝臓腫瘍の診断において、最も正確・詳細に肝臓の状態を把握できます。腫瘍の位置を正確に把握し、周囲組織や腹部大血管などへの広がり具合、リンパ節転移の有無などをダイナミックに評価できるため非常に優れた検査と言えます。ただし、CT検査でも腫瘍が良性腫瘍か悪性腫瘍かの確定はできないため、併せて組織生検(細胞レベルでの評価)まで実施することが理想です。特に肝臓腫瘍の手術を希望する場合は、手術計画を立てるためにも欠かせません。
治療方法
検査で肝臓腫瘍が疑われた場合、基本的には手術によって摘出します。
肝臓腫瘍が塊状ではなく、肝臓全体に広がっている場合や、複数の臓器に転移している場合は有効な治療法がないため、抗がん剤治療や対症療法を行います。
予防法やご家庭での注意点
肝臓腫瘍を含めたほとんどの腫瘍に予防法はありません。ご家庭では、犬や猫の体調に異変を感じる前に定期健診を受けることが大切です。肝臓腫瘍と診断された場合は、腫瘍の破裂を避けるために激しい運動は控えましょう。
まとめ
肝臓腫瘍の多くはゆっくりと進行し、症状が現れるまで気づかないことも多々あります。
早期発見ができれば手術によって完治することも多い病気ですので、普段から定期健診を受けて、早期発見・早期治療ができるようにしましょう。
当院ではCT・MRI・レントゲンなどの複数の検査機器を併用することで、精度の高い診断が可能です。セカンドオピニオンとしての受診も可能ですので、お気軽にご相談ください。
初診記入用紙を記入してご持参いただくと、受付をスムーズに行えます。同時にワクチン証明書・健康手帳・紹介状等もあれば、必ずご持参下さい。
年中無休で動物たちの健康をサポートします
千里桃山台動物病院